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総合外来
体調の変化はご本人しかわからず不安がつきものです。中には軽い症状でも重篤となる疾患が隠れている場合もあります。しかし、症状が軽いうちに対応を行うことで治療の方針が立ち、何よりもご本人の安心感にもつながりこれまでの日常生活を続けることが可能となります。
来院される患者様に多い症状には次のようなものがあります
頭が痛い、立ち眩み、目がまわる、熱がある、息が苦しい、動機、咳・痰がでる、
お腹が痛い、下痢・便秘が続く、手足がむくむ、昼間とても眠い
しかし「立ち眩み」を一つ例にとっても、脱水、貧血、肺炎などから、脳・頸部血管障害、甲状腺疾患、腎障害、肝障害、副腎疾患、不整脈、狭心症、弁膜症、心不全そのほか多くの疾患が隠れている可能性があります。このように特定しづらい症状から可能性の高い疾患を鑑別し治療を開始するのが総合外来の役割です。疾患によっては連携施設へ精密検査や加療のため紹介し併診しながら治療を進めて行きます。
総合外来で対応する疾患
機能性頭痛、良性頭位めまい、甲状腺疾患、肺炎・気管支炎、気管支喘息、COPD、貧血、腹痛、急性胃腸炎、慢性腎臓病、下痢・便秘、尿路感染症、睡眠時無呼吸症候群
消化器系疾患
急性の消化器疾患(急性胃炎、消化性潰瘍、過敏性腸症候群)への対応、ヘリコバクターピロリ感染の除菌、肝疾患(B型・C型肝炎、肝硬変)、最近増加している脂肪肝および非アルコール性肝疾患への対応を行います。
呼吸器系疾患
急性の呼吸器疾患(急性気管支炎、上気道炎)、慢性咳嗽、気管支喘息、咳喘息のほか、慢性気管支炎への加療を行います。特に慢性気管支炎はアレルギー、喫煙の影響が大きく、アレルギー検査、禁煙指導などを行います。
腎疾患
慢性腎臓病(CKD)は進行性であり最終段階の末期腎不全へ進むと腎代替療法(血液透析、腹膜透析)または腎移植が必要となります。糖尿病、糸球体腎炎、腎高血圧が3大原因疾患であり全身的な管理が重要です。血液検査で腎機能悪化を認める前に、検尿、尿沈渣での結果が非常に大切です。中には血管炎症候群を合併した進行性の全身疾患も腎機能低下がきっかけで判明することがあり初期の対応が大切です。当クリニックでは初期の段階での腎機能異常の発見と全身疾患に合併した腎障害の管理を行い、追加検査や治療が必要となった時点で連携病院へ紹介を行う方針です。
貧血
めまい、動悸を訴えることが多く、特に女性で最も多いのが鉄欠乏性貧血です。小球性低色素貧血鉄といって、鉄の不足によりヘモグロビン合成が障害されることにより生じます。妊娠可能な女性の約25%に認めます(男性は約2%)。女性であれば、月経過多や子宮筋腫、男性も含め慢性消化性潰瘍による鉄欠乏やヘリコバクターピロリ感染などでの鉄吸収障害も認めます。鉄剤服用によって血清鉄が改善した状態でも、貯蔵鉄(フェリチン)の回復は遅れるためめまい、動悸の症状が長く続く場合があり(潜在的鉄欠乏)慎重なフォローが必要です。また、ビタミンB12や葉酸欠乏による貧血(大球性貧血)、全身疾患(甲状腺機能亢進症、腎不全など)や血液疾患(溶血性貧血、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群など)による貧血(正球性性色素性貧血)の鑑別を行い血液疾患の疑いがある場合は連携病院へ紹介を行う方針です。
アレルギー性疾患
日常的に一番多く経験するのは免疫グロブリンIgEによる即時型(I型)アレルギーです。アナフィラキシー型と言って抗原と接触後、15~20分で症状が出現します。花粉症、食物アレルギー、動物アレルギーが疑われる方へは、特異的
その他
機能性頭痛、良性頭位めまい、甲状腺疾患、骨粗鬆症
外傷など
切創・挫創処置、指端切離、鼻出血処置、粉瘤処置、指趾処置などは指神経ブロック及び電気メスを用いて行います。
生活習慣病
“生活習慣病”は加齢だけではなく食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が大きく関連する疾患群としてこれまでの “成人病” とは異なった立場から着目した病気の概念です。広い意味でとらえると高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症、さらに大腸がん、肺がん、肺気腫、慢性気管支炎などが含まれます。個別の病態が互いに作用し合っている場合が多く全体像を把握することが大切です。個々の疾患の薬物治療は異なりますが、いずれも共通して生活習慣の改善が治療の重要な第一歩となります。
高血圧
高血圧は心血管病変(心臓・血管・脳・腎臓・網膜)の大きなリスクとなります。健康診断などで指摘されることが多いですが、40歳以上の方の大半は基礎疾患を持たない本態性高血圧(一次性高血圧)です。加齢による血管の弾性の低下、末梢血管抵抗の上昇、自律神経のバランスの乱れ、塩分摂取、運動不足などが原因となります。これに対し、見逃してはならないのは他に基礎疾患を持つ二次性高血圧です。これらは若年者、中高年者でも血圧の異常高値を認める方に多く甲状腺、副腎(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫)、腎臓(腎血管性高血圧)など内分泌的疾患と大きな関連があります。
血圧のコントロールは 75歳未満の方は 130/80mmHg未満を、75歳以上の方は140/90mmHg未満が目標となります。
また、診察室で血圧上昇を認めても家庭での血圧は正常範囲の方(白衣高血圧)は心血管リスクが低いことが分かってきました。逆に、診察室では正常範囲でも家庭で血圧上昇を認める方(仮面高血圧)は持続性高血圧(家庭でも診察室でも血圧上昇を認める)の方と同様に厳重な管理が必要です。特に仮面高血圧の方は喫煙、飲酒、ストレスの多い方に多く見られます。
当クリニックでは二次性高血圧の鑑別に力を入れています。未治療の状態で収縮期血圧が 180mmHgを超えている方などは他に原因疾患がないかしっかりとしたアセスメントが必要です。
二次性高血圧の原因となる主な疾患
甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、腎血管性高血圧
血圧管理目標
130/80 |
75歳未満 脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄、脳主幹動脈狭窄なし) 冠動脈疾患患者、慢性腎臓病患者(蛋白尿陽性) 糖尿病患者、抗血栓薬服用中 |
---|---|
140/90 |
75歳以上 脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄、脳主幹動脈狭窄ありまたは未評価) 慢性腎臓病患者(蛋白尿陰性) |
(高血圧治療ガイドライン 2019より改変)
治療は生活習慣の改善と薬物療法です。生活習慣の改善は、脂質異常症や糖尿病もほぼ同様の対応を行うことになります。
生活習慣の改善
- 禁煙・節酒
- (エタノール25g/日まで)
- 適正体重
- (BMI 25未満)の維持
- 食事
- 減塩(塩分6g)、
脂質摂取 総カロリーの30%以下、飽和脂肪酸 総カロリーの7%以下、
炭水化物 50%以下、コレステロール摂取を減らす(200mg/日以下) - 運動
- 中強度の有酸素運動 30分/日
(目標心拍数:(220-年齢-安静時心拍数)× 0.4~0.6+安静時心拍数)
(合併症なく、収縮期血圧 159mmHg未満)
脂質異常症
これまで高脂血症と呼ばれていました。高コレステロール血症として広く知られていましたが、総コレステロール値よりも、LDL(低比重リポたんぱく)コレステロール(LDL-C)の上昇、HDL(高比重リポたんぱく)コレステロール(HDL-C)の低下が問題であり、脂質異常症と改められました。中性脂肪(TG)の上昇も含みます。
LDLは肝臓から末梢組織へコレステロールの運搬を行い、HDLは末梢組織から肝臓へコレステロールの運搬を行うたんぱく質と脂質からなる運搬体です。このなかでLDL-Cの上昇が心臓や血管系の合併症を考えるうえで大きな問題となります。
脂質異常症では高血圧症と同じように、甲状腺疾患、ネフローゼ症候群、副腎疾患、糖尿病などが原因でLDL-CやTGが上昇する続発性(二次性)のものがあり、基礎疾患がないか鑑別することが大切です。治療は生活習慣の改善(高血圧症に準じます)と薬物療法です。
脂質について
食餌で摂取される脂質(あぶら)は中性脂肪とコレステロールとに分けられます。中性脂肪は90%が食餌に由来し10%が合成による内因性に由来します。コレステロールは食餌から1日平均0.3~0.5g摂取するのに対し、体内(肝臓)で合成される量はその2倍に達します。中性脂肪はグリセロール(3価のアルコール)と脂肪酸から成り脂肪酸の種類により、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸(オリーブオイルなどに多い)、多価不飽和脂肪酸に分けられます。飽和脂肪酸はさらに短鎖脂肪酸(バター、乳製品に多い)、中佐脂肪酸(母乳、牛乳、ヤシ油に多く脂肪になりにくい)、長鎖脂肪酸(牛、豚の脂などに多い)に分類されます。多価不飽和脂肪酸はω3(DHA, EPAなど), ω6(ゴマ油など)に分類されます。中性脂肪は消化吸収の後に脂肪細胞へ蓄積されます。また糖質として摂取したブドウ糖が肝臓や筋に蓄積できないものは中性脂肪へ合成され脂肪細胞へ蓄積されます。このように過剰な脂肪摂取と同時に糖質摂取がともに中性脂肪蓄積の原因となります。中性脂肪は摂取カロリーの20~30% 以内が推奨されます。
コレステロールに関しては1日当たりの摂取基準は決められていませんが、飽和脂肪酸の過剰摂取はコレステロール合成を高めるため、高LDL-C, 低HDL-C血症を避けバランスを維持するために最適な脂質の摂取比率は飽和脂肪酸;一不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3が推奨されます。
また最近、活性酸素などによる酸化ストレスによってLDL-Cが酸化された酸化LDL-Cが最も血管へ悪影響を及ぼすことがわかってきました。紫外線、大気汚染、喫煙、過度な運動、ストレスなどは酸化ストレスの原因となります。食品では、時間の経った食用油、空気に触れて変色したバター、マーガリン、焦げた食品などは酸化ストレスにさらされています。ビタミンC、ビタミンE、βカロチンなど抗酸化物質をできるだけ摂取し酸化ストレスを避けることが必要となります。
家族性高コレステロール血症
LDL受容体の異常により、著明な高LDL-C血症で、若年で冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)を発症します。ヘテロ接合体(300人に1人程度、LDL-C 150~420mg/dl)と、ホモ接合体(100万人に1人程度, LDL-C 500~900mg/dl)があります。早発性の冠動脈疾患を発症することが特徴で、男性は20歳台から発症し40歳台がピークで、女性は30歳台から発症し50歳台がピークとなります。問題は、若年性冠動脈疾患を生じることから患者さんのお子様へも十分な診療が必要となります。逆に、お子様の高LDL-C血症からその両親の家族性高コレステロール血症が判明する場合もあります。そのような場合は親子ともども加療を行います。家族性高コレステロール血症のLDL-Cの治療目標は 70mg/dlとかなり厳格な数値となります。当クリニックでは脂質異常症の方に対し家族性高コレステロール血症の診断・治療に力を入れています。
成人(15歳以上)家族性高コレステロール血症診断基準
①高LDL-C血症(未治療時のLDL-C値 180mg/dl以上)
②腱黄色腫(手背、肘、膝の皮膚結節性黄色腫、アキレス腱肥厚:男性 8.0mm, 女性 7.5㎜あるいは超音波で男性 6.0mm, 女性 5.5mm以上)
③家族性高コレステロール血症あるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(男性 55歳、女性65歳未満、第一度近親者:親、子、兄弟姉妹)
2項目以上満たす場合、家族性高コレステロール血症と診断する。
(成人家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022より改変)
小児科属性高コレステロール血症の診断基準
①高LDL-C血症(未治療時のLDL-C値 140mg/dl以上)
②家族性高コレステロール血症の家族歴(親または同胞)
③親のLDL-Cが180mg/dl以上または早発性冠動脈疾患の家族歴(祖父母または親)
他の原発性・続発性高LDL-C血症を除外し
項目1と2で診断する
項目1と3で疑いとする。本人のLDL-C 180mg/dl以上の場合は診断する。
項目1のみでも 250mg/dl以上は診断、180mg/dl以上は疑いと診断する。
(小児家族性高コレステロール血症診療ガイドライン 2022より改変)
糖尿病
糖尿病はインスリンの絶対的、相対的低下による糖代謝異常で、インスリン依存性の1型糖尿病と非依存性の2型糖尿病に分けられます。1型糖尿病は全体の約5%で自己免疫異常に由来し多くは小児期~思春期に発症します。2型糖尿病はインスリン抵抗性、分泌低下が原因で中年期より発症を認めますが最近は若年性の発症も増えています。3大合併症は順に①末梢神経障害(両手足のしびれ)、自律神経障害(起立性低血圧、排尿障害)、②網膜症、③腎障害(慢性腎臓病)があります。特に網膜症は失明原因の第3位で、糖尿病性腎症は透析原因の第1位に位置します。また心臓・脳血および末梢血管への動脈硬化による虚血病変、末梢循環(血流)障害による組織の壊疽などが高率に認めます。高血糖により分泌されたインスリン自体の副作用として中性脂肪合成の促進、血圧上昇など生体にとって多くの悪影響が生じます。さらに中性脂肪の増加によりインスリン抵抗性が増してくるとますます血糖コントロールが難渋します。最近は、高血糖状態による最終糖化産物(AGE:Advanced Glycation Endproducts)が多く生成され、酸化ストレスの増加、動脈硬化、白内障、認知症などいわゆる“生体の老化”を促進するとの報告がなされています。
糖尿病診断基準
糖尿病型 | 血糖値 | 空腹時≧ 126mg/dl |
---|---|---|
ブドウ糖負荷試験(Oral glucose tolerance test: OGTT) 2時間値≧ 200mg/dl | ||
随時血糖 ≧200mg/dl | ||
HbA1c | ≥6.5% |
糖尿病型を2回確認(1回は血糖値で確認)
(糖尿病診断ガイドライン 2019より改変)
治療は生活習慣の改善(高血圧症に準じます)と薬物療法(経口血糖降下剤、インスリン療法)です。特に食事に関し総エネルギー摂取量は下記のように設定します。
目標総エネルギー摂取量(kcal/日)=目標体重(BMI 22を維持; kg)×エネルギー係数*
*エネルギー係数:軽労作:座位中心 25-30, 中労作(通勤、家事)、軽い運動 30-35, 重労作 35~
当院では糖尿病型と診断される前から生活習慣の改善に努めます。進行すれば、経口血糖降下剤の服用、インスリン導入を行う方針です。
メタボリックシンドローム
健康診断での関心のある項目ですが、内臓脂肪が蓄積するとアディポカインと呼ばれる生理活性物質が増加し血糖、脂質、血圧へ負の作用をもたらします。それにより心血管合併症、2型糖尿病、高尿酸血症、慢性腎臓病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、睡眠時無呼吸などの健康障害のリスクが増大した状態を指します。内臓脂肪の減少を目標に前述のように食事・運動などの生活習慣の改善を行います。当クリニックは患者様へ積極的に生活指導をおこなって行きます。
メタボリックシンドローム診断基準
①ウエスト周囲(男性:85cm以上、女性:90cm以上)※必須
②⑴血圧 (収縮期 130mmHg以上または拡張期 85mmHg以上)
⑵高TG血症(150mg/dl以上)または低HG血症(40mg/dl以下)
⑶空腹時血症(110mg/dl以上)
①かつ②の2つを満たす場合、メタボリックシンドロームと診断する。
(メタボリックシンドローム診断基準検討委員会 編: 日本内科学会雑誌 2005:94(4):191より改変)
高尿酸血症
男性に多く頻度は30歳代男性で約30%に達します。女性は閉経後に増加しますが全体では約5%以下の頻度です。血清尿酸値 7.0mg/dl以上で痛風関節炎、腎障害の原因となります。遺伝的素因と過食、肥満、飲酒などが要因となります。
尿酸は動物のDNAの成分である核酸やエネルギー源を担うアデノシン三リン酸(ATP)のプリン体という有機化合物が分解された最終代謝産物です。生体内の尿酸は外来由来(食事)が全体の20%で残りの80%は体内で産生されたものです。分類として排泄低下型が最も多く(60~70%)、次いで混合型、産生過剰型に分けられます。
①産生過剰型:悪性腫瘍、溶血性貧血、乾癬、横紋筋融解症、甲状腺機能低下症、薬剤性(テオフィリン、フルクトース、キシリトール、免疫抑制剤)などがあります。
②排泄低下型(60%):慢性腎臓病、脱水、利尿剤、抗結核剤、免疫抑制剤などがあります。
③混合型:悲観、妊娠高血圧症、飲酒、外傷・熱傷など
メタボリックシンドロームではインスリン過剰分泌により尿酸の再吸収が増加、さらに産生も亢進します。なお、無酸素運動は、一過性の高尿酸血症を起こし痛風発作の原因となるため高尿酸血症患者へは有酸素運動が勧められます。治療は以下の通りです。
治療
①生活習慣の改善
⑴食事療法 エネルギー制限、プリン体(レバー、いわし、白子)の制限・十分な飲水
⑵飲酒制限
⑶適度な有酸素運動
②薬物療法 病態により尿酸排泄薬、尿酸生成抑制薬を使い分けますが、現在主流のとなっているフェブキソスタット(フェブリク🄬)は生成抑制薬ですが、いずれのタイプへも効果を示しています。
薬物治療開始基準
痛風関節炎、痛風結節などを合併の場合 血清尿酸値 ≧7.0mg/dl
慢性腎臓病、高血圧、心不全などの合併症の場合 血清尿酸値 ≧8.0mg/dl
合併症ないが生活習慣の改善にもかかわらず 血清尿酸値 ≧9.0mg/dl
(高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 2019より改変)